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社外監査役

波多野 佐知子

経歴
  • 2006年12月 あずさ監査法人(現 有限責任 あずさ監査法人)入所
  • 2010年10月 公認会計士登録
  • 2011年6月 ライフネット生命保険株式会社 入社
  • 2018年2月 株式会社じげん 入社
  • 2021年5月 当社監査役就任(現任)
  • 2021年6月 株式会社アップルワールド 取締役就任(現任)
  • 2021年6月 株式会社じげん 取締役就任(現任)
  • 2022年10月 株式会社タイズ 取締役就任(現任)
  • 2022年11月 株式会社オーサムエージェント 取締役就任(現任)
  • 2024年7月 株式会社アップベース 取締役就任(現任)
  • 2024年9月 保険マンモス株式会社 取締役就任(現任)

1. 現在までのキャリアを簡単に教えて下さい。

新卒であずさ監査法人に入社し、約4〜5年間、主に法定監査業務に従事しました。監査法人での経験を経て、IPO準備中だったライフネット生命へ転職しました。ライフネット生命では、上場経理の実務やJ-SOX対応、株主総会運営など、バックオフィス全般の業務に幅広く携わりました。ちょうどIPO直前のタイミングだったため、上場準備組織の一員として会社の成長や仕組み作りに深く関与できたのは、非常に貴重な経験になりました。

同社には約7年間在籍し、途中、産休・育休の取得と復職も経験しました。ひと区切りついたタイミングで、自身のキャリアをさらに広げたいと考え、現職である株式会社じげんに転職しました。じげんではコーポレート部門全体、具体的にはIR・経理・総務・労務・法務といった部門のマネジメントを担当しています。2021年からは取締役として経営にも参画しており、さらに複数子会社の取締役も兼任しています。社外監査役としてはINFORICHが初めてです。

2. 今までのご経験から学んだこと、印象的だったことはありますか。

ライフネット生命では、IPOという会社の節目を迎える重要な時期に、実際のプロジェクトマネジメントや経理体制の上場企業レベルへの引き上げなど、変化の激しい状況の中で様々な知見を得られました。当時の経営陣の方々とも近い距離で仕事することができ、その後のキャリアの礎になりました。

じげんでも、コーポレートの複数の専門領域を統括しながら、グループ会社のガバナンスにも関わるなど、責任や視点の幅が一層広がったと実感しています。特に、組織で日々課題解決に取り組む中で、成長フェーズに合う体制を“作り続ける”面白さと難しさの両方を体験しています。

3. 上場前からINFORICHに関わっていただいていますが、上場前と今で、一番変わったところはどこだと思いますか。

急速な成長を続ける中で、上場準備やガバナンス・経理体制の質をしっかりと高めてきた点が非常に印象的です。上場後も安定的に開示や経営の透明性を維持しつつ、積極的なM&Aや海外への事業展開にも果敢に取り組むことができていると感じています。こうした成長スピードと野心的な事業展開は他のスタートアップ企業と比較しても際立っており、INFORICHのポテンシャルは非常に高いと評価しています。

上場前から社内外の役員に多様なバックグラウンドとスキルを持った方が揃っており、活発に議論や提案が行われている点も良いところだと思います。

グローバルな人材構成や海外拠点との連携が設立時から意識されていたことも特徴的です。グローバル展開に本気で取り組む風土が根づいていると思います。

4. 一方で、現在どのような組織的な課題・改善点があると感じられますか。

組織体制や役割分担の明確化には、引き続き取り組む余地があると考えています。新たな施策や外部からのアドバイスを具体化していく際に、“誰が最終責任を持って推進するのか”が曖昧になる場面が見られます。組織が急拡大する中で、組織図や指揮系統も複雑化しつつあり、社員一人ひとりが自分の担うべき役割を把握しきれないこともあると思います。

また、複数の事業やプロジェクトを同時進行している中で、全社としての優先順位や一貫性がやや不透明になるケースも見受けられ、各施策が「個別最適」に終始してしまい、会社全体としての「全体最適」につながりにくい懸念を感じます。ノウハウの属人化やその引き継ぎも、今後解決すべき課題として挙げられます。

社外取締役や外部専門家からの助言を積極的に取り入れる姿勢は極めて高いですが、その実行を誰が担うかを明確にし、組織的な推進力を高めていくことが今後の発展の鍵になると考えています。現場マネージャー層の育成や業務・権限の仕組み化、組織的なナレッジの蓄積が急務だと考えます。

5. ダイバーシティや働き方についてINFORICHが抱える課題や、期待する取り組みをご意見いただけますか。

INFORICH全体で見ると女性比率は約4割と高い水準にありますが、管理職層や事業部門での多様性にはまだ課題あると聞いています。多くの会社でそうですが、バックオフィス部門では女性管理職が比較的多い一方、事業サイドにはロールモデルが少なくなりがちです。これからは女性リーダーの育成や昇進機会を増やし、ダイバーシティを全社的にさらに推進していくことが重要になるのだと思います。

6. 今後INFORICHが成長を持続させるために、何が重要だとお考えですか。

まず、安定的に働ける組織基盤とナレッジの仕組み化、マネジメント教育の強化が重要だと思います。
施策や新規事業計画に際し、優先順位や全社的方向性を明確化することが、現場の力を組織力に変えていく基礎となります。明確な役割分担と権限委譲、育成された現場マネージャー層の拡充によって、個々の人的資産を会社の資産へと転換し、中長期的成長を支える体制をつくるべきだと考えています。

また、今の規模ならではの機動力と柔軟性を活かし根本的な仕組み見直しや制度改革にもチャレンジしやすい環境です。さらなる飛躍のために、変化を恐れず新しいことへ挑戦し続けることを期待しています。

INFORICHは、多様性と健全なガバナンスを両立できている企業だと思います。今後は組織の拡大・変革が続く中でも柔軟さと一貫性のある方針、現場が納得して動ける仕組み作りを進めてほしいと願っています。人材の成長と企業の持続的な飛躍、その両方を実現できる会社であってほしいです。