モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を展開する、株式会社INFORICH(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼執行役員CEO:秋山 広宣、以下INFORICH)と、東京大学 生産技術研究所沼田研究室/附属 災害対策トレーニングセンター(DMTC)は共同で、災害時の電源確保と情報発信に関する共同研究を実施しました。
【調査サマリー】
- 自治体庁舎、避難所における電源対策は進められている一方で、避難者、帰宅困難者に対するスマートフォン充電の電源対策は約7割が「準備していない」と回答。
- 避難者、帰宅困難者向けの、スマートフォン充電の電源対策につながるモバイルバッテリーレンタルサービスサービスが「あったら有用」と感じる自治体は約9割。
- 帰宅困難者向けには、駅・一時滞在施設・コンビニ・商業施設でのニーズが高い。
- 地方公共団体の災害時の情報発信ツールは住民のスマートフォンを媒体するものが8割以上。
【研究の背景】
日本では、地震、豪雨災害等、毎年のように災害が発生しています。2011年東日本大震災では、東北地方を中心に広範囲で被害がみられ、首都圏では交通機関の停止等により多くの帰宅困難者が発生しました。2022年3月に福島県沖を震源とする地震では、大規模な停電も発生しました。今後、首都直下地震、南海トラフ地震の発生が想定されます。停電、通信の輻輳、帰宅困難者の発生等、都市部へのライフライン被害や間接被害を考えると、平常時と災害時のシームレスな電源確保が求められます。また多くの避難者及び被災者に対して適切な情報発信も求められます。
そこで、災害時の電源確保および情報受発信に関する基礎的な実態把握を行い、その解決策を検討するために、行政を対象にアンケート調査を実施しました。
【今後の展望】
INFORICHでは現在、各自治体様・企業様と防災協定を締結することを通じて、避難所、帰宅困難者向けに備蓄バッテリーの提供を実施しております。また、災害時は被災エリアを対象に48時間無料でバッテリー開放を実施しております。
今回の共同研究で、自治体では、避難所、帰宅困難者向けのスマートフォン充電に対する電力供給の準備について課題があることがわかりました。この結果をもとに、各自治体様・企業様と連携して一時滞在施設及び帰宅困難者が多く発生するエリアにバッテリースタンドの設置を拡大し、平常時と災害時のシームレスな電源確保を目指します。また、災害に強いバッテリースタンドの開発を進め、充電ニーズに応えるラストワンマイルとして、レジリエンスの向上に努めてまいります。
【調査概要】
調査期間:2022年6月7日〜8月29日
調査主体:東京大学 生産技術研究所沼田研究室/附属 災害対策トレーニングセンター(DMTC)https://tdmtc.tokyo/
株式会社INFORICH https://inforich.net/
調査対象:人口20万人以上の11の主要都道府県と134の市区町村(合計で145の自治体)
有効回答数:62
調査方法:電子メールを使ったアンケート調査
論文情報
論文名:地方公共団体の災害時の電源確保と情報受発信体制に関する基礎調査
著者:橋本 千宙1)・沼田 宗純2)・児玉 知浩3)・谷口 慎太郎4)・青木 拓也5)・関 裕貴絵6)
所属:
1) 東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻, 修士
2) 東京大学生産技術研究所, 准教授
3) 株式会社INFORICH, 取締役副社長
4) 株式会社INFORICH, Business Operations Department 統括部長
5) 株式会社INFORICH, Business Intelligence Department 統括部長
6) 株式会社INFORICH, Business Intelligence Department Associate
発表学会:日本地震工学会・大会- 2022
B-22 16th of December 10:40-12:10 社会問題-5
https://www.jaee.gr.jp/jp/annual2022/
発表論文はこちら:https://inforich.net/wp-content/uploads/2023/01/81f3553ebbdfce5e70cfa28495baeaaa.pdf
■東京大学 生産技術研究所附属 災害対策トレーニングセンター(DMTC)について
毎年のように世界中での自然災害が発生し、多くの人命や財産が失われています。DMTCは、新たな局面における災害対策の研究と人材養成の新しい教育サービスとして、自助・共助・公助の枠組みや組織を超え、相互に補完し連携するために、横断的かつ体系的に災害対策を研究し学びあうことで、様々なセクターで活躍できる人材を養成します。DMTCは、1. 学び、2. 体験し、3. 対話し、4. 未来を考える場として、皆様の災害対策の発展に貢献します。災害対策の全体像を理解するために、災害対策の8科目をフレームワークとした完全オンラインの講義を受けてみませんか?
https://tdmtc.tokyo/basic-training/