中国におけるモバイルバッテリーシェアリング事業は、日常生活において無くてはならない生活インフラとして完全に定着しており、全国民のおよそ2人に1人が利用する巨大サービスへと育っています。
一方、日本におけるモバイルバッテリーシェアリングサービスの利用状況は、約35人に1人という浸透度にすぎません。当社では当該事業の我が国における高い成長ポテンシャルに大きな期待と自信を持っておりますが、今から7年後を見据えたVISION2030(中期経営計画)においても、年に1度以上ChargeSPOTを利用する可能性のあるユニークユーザー割合を5人に1人としか定義していません。
つまり、今の中国市場を参考にするとすれば、当社が想定している2030年水準から更に2.5倍もの成長余地があるということになります。
日本における約35人に1人という利用割合が今後どこまで中国に近づくか、また、市場成長が一定の飽和水準に達するのが2030年以降いつ頃になるのかについて、確定的なことは言えませんが、モバイルバッテリーシェアリングサービスがもし仮に2人に1人という普及割合に達した将来を予想するなら、その時点での業績は今とは比較にならないものになっているものと思われます。
また、そうした将来の到来は、言うまでもなく当社としては非常にポジティブな事象であると考えております。モバイルバッテリーシェアリングは中国において生まれ/育ったサービスです。
当社としても当該事業を最初は香港で展開し、現在でもバッテリー及びバッテリースタンドは中国で開発製造しています。当社は中国を先輩市場と位置付けるとともに、各種報道に頼ることなく、広州にある子会社を介して常に最新情報を収集しています。
その結果、中国でのモバイルバッテリーシェアリングには参入企業数の多さや少なくとも日本と比較した場合のサービス水準などの点から事業面における課題が多いと結論づけております。中国のバッテリーシェアリング会社と、日本・香港・台湾をメインとする当社との間において費用構造や採算面で本質的な差が存在するのはこのためです。
具体的には、中国ではChargeSPOTのように市場で大きな割合を占めるプレーヤーがなく、比較的小規模な会社が多数乱立する過当競争状況になっており、レッドオーシャン下で設置先を取り合うことになってしまう結果、設置料などの支払いが高騰し、採算面で非常に厳しい状況に置かれています。
加えて、中国のバッテリーシェアリング会社が提供するバッテリーはApple社が厳格に管理しているライトニングケーブル認証であるMFi規格に準拠していないケースが多いことも、INFORICHが提供しているバッテリーシェアリングサービスと大きく異なるところです。
当社は、今後も先輩市場である中国における動静をしっかりと見極め、参考になるものは採用し、事業採算性に照らして避けるべき商慣行に関しては同じ轍を踏まないようにしながら、日本流にブラッシュアップした「中国とは似て非なる」シェアリングサービスを引き続き提供して参る所存です。