2024.05.30 Thu | IR FAQ - Category

【24年1月FAQ】高速充電のスマートフォン(中国Realme社によるもの)が発売されたという報道がありましたが、ChargeSPOT事業にどのような影響を与えると想定していますか。

 スマートフォンの充電速度が早まることが、ChargeSPOT事業に与える影響は非常に限定的であると考えています。充電にかかる時間が短くなったからといって、充電ニーズ自体には全く影響を及ぼさないからです。

 あくまでも当社の事業の必要性を決定するのは何時間ごとに充電が必要になるかという「充電周期」であり、リチャージの際にかかる「充電時間」とは本質的に関係がありません。

 仮に日本のスマートフォンの大半が高速充電モデルに置き換わった場合、ChargeSPOT事業としては、新しい充電時間に対応する料金体系をどう考えるかという検討を行ってまいります。

例えば、現在「30分未満〇〇円」という料金区分を例えば「5分未満〇〇円」に変更するといった最小限の料金テーブル修正での対応が可能です。

補足)技術的な懸念:安全性や耐久性とのトレードオフスマートフォンの内蔵バッテリーについて「短時間でチャージできる方が好ましい」というニーズは今に始まったものではありません。

 実際、バッテリーを高速充電する技術自体は昔からありますが、それを広く電気製品に実装する上で障害になってきたのが充電スピードと安全性・耐久性のトレードオフです。

バッテリーに急激に電気を送り込むと通常以上の発熱が生じ、発火の危険性がある他、セパレーター等の内部構造の劣化がどうしても進みやすくなります。「買ってから2年を境にだんだんと減衰が進みつつも10年くらいは持つ」というバッテリーの基本特性が保証されないとなると、AppleやSamsungなどの大手メーカーが採用する可能性は低くなります。

高速充電を謳うスマートフォンがこれまで中国の新興メーカーばかりであるということが、この証左であると考えます。これらの製品は市場投入されて日も浅く、実際に世の中で使われてどのくらいの年数にわたって安定的に使えるのかについてはまだ信頼できるデータが存在しません。高速充電に惹かれて買ったものの、実際使ってみたら電池の持ち時間の減衰ペースが早く、充電切れに陥ることが以前より増えることも十分に考えられます。こうなれば、ChargeSPOT事業にとってはむしろプラスであると言えます。

 最後に、高速充電スマホは今回が初めてではありません。

既に2年前の12月に大々的に日本市場に投入されています。中国Xiaomi製の12T-Proで、「神ジューデン」スマートフォンとしてソフトバンク傘下で広く販売され、大規模なCMキャンペーンが展開されたものの、売れ行きは芳しくなかったようです。

ユーザーにとって最も大切なのは、信頼できる/使い慣れたメーカーであるかどうかであって、充電時間が早いことそれ自体は評価するものの、それが購入する決定的な理由にはなっていないことをうかがわせます。

スマートフォン選びで重視する事柄を調査した様々なアンケートを見ても、「充電時間」は優先事項のトップ10に入ることすら稀で(たいてい上位を占めるのは「価格」「持ち時間」「ディスプレイ」「色/デザイン」「カメラ機能」など)、もとよりAppleやSamsungなどの大手メーカーの人気が圧倒的な我が国において、新興メーカーで占められる高速充電スマートフォンが普及するかはまだまだ未知数と言わざるを得ないと思います。